海外SEOで8割が失敗!多言語WEBサイトに最適なドメインとは?

英語や中国語といった日本語を含む多数の言語でWEBサイトを作る場合、既に取得済みだからという理由だけで「jpドメイン」をそのまま利用していませんか?

多額の翻訳費用をかけてWEBサイトを多言語サイトにリニューアルしたとしても海外からの集客ができないとのご相談を多く頂いています。

これらの多言語サイトの多くは、既存の日本向けのWEBサイトのドメインである「.co.jp」や「jp」をそのまま利用していることがほとんどです。

弊社にご相談をいただくお客様の8割がこのドメインの間違いを改善することで、多くの訪日・インバウンド集客に成功しています。

なぜ「.co.jp」や「jp」を多言語化サイトで使ってはいけないのか事例をあげながら解説してみたいと思います。

※このコンテンツは2018年7月20日に開催された中小機構「SWBS海外ビジネス相談会in東京ビッグサイト」のセミナーで「間違いだらけのWEBサイト多言語化」 と題して発表した内容に追加・修正を加えたものです。

jpドメインは日本国内向けのコンテンツであることを検索エンジンへ伝える強力なサイン

Googleに代表される検索エンジンは世界中のコンテンツをどのように地域別に分類しているかご存知でしょうか?

単純に「言語」で分類すれば良いと思うかもしれませんが、コトはそう簡単ではありません。

イギリスとアメリカは同じ英語圏となりますが、これを英語という言語だけで分類した場合、ユーザに混乱を生じさせてしまいます。

例えば、イギリスに住むユーザが車を購入しようと「TOYOTA」と検索したとします。その際に同じ英語圏であるアメリカのにあるトヨタのディーラーが表示されたとしたらどうでしょうか?

イギリスで購入したいと思っているユーザの検索意図とは、まったく違った結果となり、検索エンジンとしては使えないモノとなってしまいます。

そのため検索エンジンは、「言語」だけを基準にして、その検索結果が最適であると判断をすることができません。

実はGgoogleは以下の5つをポイントを使って、地域と検索結果を結びつけるサインとして利用していることを公式に認めています。

      1. ccTLD(ドメイン)
      2. Search Consoleでのインターナショナルターゲティング指定
      3. hreflang ステートメント
      4. サーバーの場所
      5. その他の情報

1. ccTLD(ドメイン)

jpやcnというドメインは国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)と呼ばれ国や地域ごとに2文字のアルファベットが割当られています。

この2文字を利用することでそのコンテンツがどの国や地域へ向けられているかを判断するわけです。このccTLDの利用がコンテンツと地域を結びつける強力なサインとなります。

2. Search Consoleでのインターナショナルターゲティングの指定

comやnetなどは、地域性をもたないジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)と呼ばれています。

これらgTLDの利用サイトは、そのドメインから国や地域を判断することができないため、GoogleはSearch Console(旧ウェブマスターツール)に「インターナショナルターゲティング」という地域を指定するツールを用意しています。

残念なことにcomなどgTLDを利用しているサイトであってもこの「インターナショナルターゲティング」を設定していないことがほとんどです。その場合、機会損失をしていることが多いので是非設定をすることをおすすめします。

※このインターナショナルターゲティングは、comなどのgTLDを登録しているときでしかアクティブにならず、jpなどccTLDでは利用できまないようになっていますので注意してください。

jpドメイン内の英語コンテンツは日本に滞在している英語話者ユーザへのコンテンツとなってしまう

「なぜ.co.jpやjpを多言語化サイトで使ってはいけないのか?」の問いに対してのの答えは、上記で説明の通り「jpドメイン内の英語コンテンツは、基本的に日本に滞在している英語ユーザへのコンテンツとなってしまう」からということになります。

もちろん、在留外国人向けのコンテンツであればjpドメインで英語コンテンツの利用は問題ありません。

また、自治体や公共交通機関のような競合がなくドメインにパワーがある場合も同様です。

しかし、以下に上げるような目的や業種においては「.co.jp」や「jp」ドメイン内で外国語で情報発信をすることはおすすめ出来ません。

 

  • ホテル・観光業など、「旅マエ」に訴求したい訪日インバウンド集客
  • 現地法人の無い輸出型企業
  • 越境EC

上場企業でもそのほとんどがjpドメインで多言語での情報発信をしており、comなどのグローバルサイトを持って正しく情報発信をしている企業は一部となっています。

ccTLDとSearch Consoleでのインターナショナルターゲティングの指定以外は優先度が低い

以下の残り3点はccTLDとインターナショナルターゲティングにくらべると優先度が低いです。もし、ccTLDを利用している場合は、以下に説明するhreflangステートメントの設定は不要です。また、サーバのIPアドレスやその他情報はサインが弱い傾向があります。

3. hreflang ステートメント

ページやhttpのヘッダー、サイトマップに以下のようなhreflangを使ってコンテンツがどの国や地域のユーザ向けなのかをgoogleに伝えることもできます

<head>
<title>Widgets, Inc</title>
<link rel=”alternate” hreflang=”en-gb”
href=”http://en-gb.example.com/page.html” />
<link rel=”alternate” hreflang=”en-us”
href=”http://en-us.example.com/page.html” />
<link rel=”alternate” hreflang=”en”
href=”http://en.example.com/page.html” />
<link rel=”alternate” hreflang=”ja”
href=”http://ja.example.com/page.html” />
<link rel=”alternate” hreflang=”x-default”
href=”http://www.example.com/” />
</head>

※ページヘッダーにhreflangを指定した例

4. サーバーの場所

公式にはサーバのIPアドレスを元に判断するとされていますが、現在はあまり意識しなくてもいいと思います。

例えば、Amazon AWSのリージョンの無い国は、最寄りの国のリージョンを使わざるをえないわけですがそれでも全く問題ありません。

具体的にはタイにはAWSのリージョンがありません。最寄りのシンガポールのリージョンを使っても良いわけです。

GoogleのJohn Mueller氏も以下のように「大部分はccTLDとSearch Consoleの設定を利用しているため、サーバの場所は最適に」と言及しています。

5. その他の情報

コンテンツに記載されている住所や電話番号、使用されている言語や通貨、他のローカルサイトからのリンクも地域性のサインとなります。

例えば、お店や企業を検索するとGoogleマイビジネスに登録しなくても検索結果の右側に住所や電話番号だけでなく写真や地図、口コミなどの「ナレッジパネル」が表示されることがあります。

これと同じようにgoogleはコンテンツ内の住所や電話番号情報を収集して検索結果に反映しているということかと思います

comやnetなどgTLDのインターナショナルターゲティングを利用した海外SEOの方法

前述の通り、多言語サイトを制作する際にcomなどのgTLDを正しく利用しているサイトであっても、この「インターナショナルターゲティング」を設定しているWEBサイト運営者はごくごく少数です。

機会損失のない海外SEOのためにも以下を設定するようにしてください。

  1. Search Consoleにログインする。
  2. ダッシュボード > 検索トラフィック > インターナショナルターゲティングを開く。
  3. 「国」タブを開く。
  4. 「ターゲットユーザの地域」にチェックを入れ、プルダウンから対象の地域を選択して保存。

インターナショナルターゲティングデフォルト設定

※デフォルト状態ではターゲットユーザの地域が選択させていない状態です

また、以下のような単体・サブドメインを利用して対象地域が1つの場合はあまり問題ないのですが、

http://en-us.example.com/

よくある間違いとして

http://example.com/en_us/

のようにサブディレクトリで地域を分ける場合は、地域にあったサブディレクトリ毎にSearch Consoleにプロパティ登録が必要ですので注意してください。

以下の例は英語と日本語の多言語サイトを作り、ベースとなる日本語は日本国内向けコンテンツ、/en/以下は英語の世界向けのコンテンツ、/en_us/以下は同じ英語であってもアメリカには子会社や代理店があり、その内容が世界向けの英語コンテンツと異なるような場合は、それぞれ3プロパティをSearch Consolに登録してプルダウンからそれぞれ対象の地域を選択する必要があります。

 

  登録URL 言語 対象地域 プルダウン選択
プロパティ1 http://example.com/ 日本語 日本 日本
プロパティ2 http://example.com/en/ 英語 全世界 指定なし
プロパティ3 http://example.com/en_us/ 英語 アメリカ アメリカ合衆国

同じキーワードで「jp」「com」「uk」でそれぞれ海外SEOを比較してみる

実際にこのccTLDとインターナショナルターゲティングが多言語の海外SEOにどのような影響があるのかを実験して見てみましょう。

うまく多言語・多地域のWEBサイトを制作されている例として株式会社フジクラさんがありました。株式会社フジクラは日本国内だけでなく、世界中に子会社をもち、なおかつ世界共通のグローバルサイトを持っていますので実験には最適な事例です。

以下は「fujikura」とgoogle検索して、日本、アメリカ、イギリスの3カ国に在住の英語ユーザにどのように見えるのか?を比較・検証した結果です。

日本人のWEB担当者やWEB制作者に多くみられる間違い

ブラウザの言語や検索する場所を考慮しないで、普段使っているブラウザ設定やゲートウェイ(接続するIPアドレス)のまま、自社のWEBサイトが検索されるかどうかチェックをしている方がほとんどでは無いでしょうか?

しかし、海外のユーザのブラウザは当然そのユーザの言語となっています。

また、インターネットに接続するゲートウェイ(接続するIPアドレス)はその国・地域となっています。

この2つの情報は検索結果を大きく左右します。

この比較実験ではなるべく中庸な海外ユーザに近くなるように「ブラウザのシークレットモードを利用」「ゲートウェイ(接続するIPアドレス)をそれぞれの国を利用」「ブラウザは英語設定」にしています。

日本から接続して「fujikura」を検索した結果

インターナショナルターゲティング結果
「com」のグローバルサイトや商品を紹介したサブドメインのgTLDサイトが最上位に表示されていますね。

「www.fujikura.co.jp」のccTLDも表示はされていますが、comよりも低い評価のようです。これはブラウザの英語設定が影響をしているためかと思います。

しかし、日本のIPアドレスから検索をしてるたため、日本語の「www.fujikura.co.jp」も表示されています。

さらに「www.fujikura.co.jp/eng/」と英語のコンテンツも表示されています。これは検索した日本のIPとブラウザの英語設定から、「日本在住の英語ユーザ」であると検索エンジンが判断したことでccTLD内の英語コンテンツを検索結果として返したと考えられます。

アメリカから接続して「fujikura」を検索した結果

インターナショナルターゲティング結果
「com」のグローバルサイトや商品を紹介したサブドメインのgTLDサイトが表示されていますね。

日本から接続した場合の検索結果と最も異なる点は、ccTLDである「jp」が、上位に表示されていないことではないでしょうか?

これはアメリカから接続し、ブラウザが英語設定のユーザには「com」でターゲティングされたコンテンツが最もマッチすると判断された結果と思います。

イギリスから接続して「fujikura」を検索した結果

インターナショナルターゲティング結果
フジクラさんはイギリスにも子会社があるため、ccTLDである「uk」が最上位に表示され、「com」のグローバルサイトや商品を紹介したサブドメインのgTLDサイトが次に表示されていますね。

当然ながら「jp」ドメインは見当たりません。イギリスから接続して、英語のブラウザ設定ですからセオリーどおりです。

結果:com以下のコンテンツは全世界に表示され、jp以下にある英語コンテンツは日本でのみ高評価

結果として「com」内の英語コンテンツは全世界に表示されていました。しかし、「jp」以下にある英語コンテンツは同じ英語という言語を利用しているにもかかわらず、日本でのみ上位表示されアメリカやイギリスでは評価が低いことを検証することができました。

これらの結果から多額のコストと多くの時間をかけて多言語サイトを制作したとしても、ccTLDである「jp」ドメイン内で外国語のコンテンツを提供した場合は、非常に不利な条件下におかれることがおわかりいただけたかと思います。

すべての国と地域で最適なWEBサイトを表示させているフジクラさんは流石です。

また、アメリカから接続した際に世界的なゴルフメーカーであるフジクラゴルフさんも表示されていましたが、こちらも世界向けと日本国内向けのWEBサイトではjpとcomをうまく使い分けていました。(本筋とそれるので見てませんが、ukでどの程度表示されているかがわかるとインターナショナルターゲティングの設定が適切か?も追えるかと思います)

固有名詞では気づきにくいが、普通名詞では大きな違いとなる

もちろんccTLDを利用しても海外SEOがうまく機能しないだけで海外からの流入がゼロになるわけではありません。Google Analyticsなどのアクセス解析などをみると海外からの流入があるために気づきにくい点ではあります。

今回の検証ではわかりやすいように「fujikura」という固有名詞で検証しました。

しかし、これが固有名詞ではなく主力製品の普通名詞である「optical cable」やフジクラゴルフさんの主力製品の普通名詞である「golf shaft」であると仮定するとどうでしょうか?

Googleの公式見解や当検証結果を見る限り、国や地域にあったccTLDを用いず、さらにインターナショナルターゲティングを適切に設定しなかった場合は、普通名詞での検索エンジンからの集客はローカル企業には太刀打ちできないのです。

多くの日本企業はフジクラさんのように世界中に子会社や代理店をもっているわけではありません。また、フジクラさんの「光融着接続機=optical fusion splicer」のように、その業界や製品・サービス内において固有名詞で検索されるような世界的なブランディングや世界シェアの獲得ができているわけでもありません。

OTA(オンライン・トラベル・エージェント)に多額の集客費用を支払っているホテルや旅館など観光業界、日本以外に子会社がない輸出志向型の企業、日本で運営や発送業務をしているような越境ECを運営する企業こそ多言語サイトでのドメインの見直しをおすすめします。

Spokeが海外展開をお手伝いします

ご覧いただきましたように多言語のWEBサイト制作やプロモーションには、日本向けのWEBサイトとは全く異なるノウハウが必要です。

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海外向けの多言語SEOではURLの構造にもノウハウが必要